1989年、当時国民皆保険を目指していた台湾にアドバイスをするために、世界各国から公衆衛生学や医療政策にかかわる研究者が参集し、研究者同士の個人的なつながりができました。
また同年、世界銀行が主催した東南アジアのUHC(Universal Health Coverage、国民皆保険)ための会議がインドネシアバリ島で開かれ、東南アジアの研究者・政策担当者との個人的なネットワークが形成されました。
これらの個人的ネットワークを基に、1998年7月に東京でDragon Netとして東アジアにおける公的医療保険の導入・深化を目指すための研究者・政策担当者のネットワークが出来上がりました。Dragon Netはネットワークを基盤としたもので、組織として事務所等を持つものではないが、ほぼ年に1回持ち回りでシンポジウムを行い、情報の交換、相互の比較分析、共通の問題の同定、共通する政策の開発、共同研究の提唱等を行ってきました。
その過程で1995年の台湾の「全民健康保険」、2001年のタイの「30バーツ政策」など関係国で国民皆保険の達成が進むと同時に、すでに皆保険を持つ国では制度の改革が進められてきました。
Dragon Netにおいてはさらに、この地域特有の急速な社会の高齢化に関して新たに焦点を当て、高齢社会の中での皆保険制度をテーマにするとともに公的介護保険に関しても討議を行ってきました。
今年でちょうど25周年を迎えるDragon Netのこれまでの総括をし、なぜ東アジアで皆保険制度をつくることができたのか、西洋諸国とは異なるアジアの価値観を基盤とした皆保険制度とは何かをまとめ、国連総会で採択された「持続可能な開発目標<SDGs>」の中の各国におけるUHCの達成に資する提言を行うとともに、少子化等東アジアの将来にかかわる共通問題に対する政策研究への道筋をつけることを目的には開催されます。